反日常系

日常派

深夜日記

 生活に嫌気が差すと、当たり前のことながら、生活を直視したくなく日記が書けない。こんなものは褒められるために書いているのではなく、粗を露呈するために書いているのだという気分になる。誹謗中傷されるために書いているのだとさえ思う。そもそもが人様には胸を張れない生活だ。ない胸を張って、切ったり張られたりしないことを祈るのみ。

 夜が明けてきている。この時間が好きでも嫌いでもないが、よく目にする夜明け前の藍色に対して、よく目にするがゆえの気を許すような寝ぼけた顔でぼんやりとカーテンを開ける。ここ最近、うまく眠れない。日付が変わる前に寝て、一時か三時には起きる。そのまま眠れないことを察知しながら、様々な呼吸法を一通り試し、眠れないことを結論付ける。それから布団を飛び出して、何をするでもなく食パンをモソモソと食べながら、カーテンの隙間からカーテンを開ける瞬間を待つ。この瞬間は人生みたいだ。思ったのとは違う瞬間にスタートを切らされて、これからに何かあると思って、今現在はなにするでもなく待っている。

 夜明け前の色は、閉鎖病棟を思い起こさせる。保護室ではカーテンすらなかった。病室に移ってからも、起きてしまうのでカーテンを開け放しにしていた。だんだん暗闇から明度の高いブルーになる瞬間。そこに救急車の赤色灯が回転しながら入ってきたりするといいのになあと思いながら、外を眺めている。なにかをしなければならないのに、今はまだしなくていいと、自分に都合のいい時間帯とぬるく付き合っている。暗く長いモラトリアムが明度を増すのはいつなのだろうか。食パンを食べながら待ち望んでいるというのに。