反日常系

日常派

出たり入ったり

 明日退院です。まあ、もうそんなことを書こうにも飽きるくらい出たり入ったりしてるし、精神科は退院することが全治ではない。治るんじゃなくて治まった程度。何も言いたいことはなくなって、それからまた不平不満を口にするくらい調子が悪くなっていくんだろうなと、退院に対し明るい見通しもなく、繰り返しの毎日がまた現れるだろうことだけがわかる。もう繰り返したくないとまた思った時に、また死にかけてまた繰り返しのように病院に入るんだろうなと思う。

 入院にも慣れたから、語るべく言葉もなく、ほぼ日常の中にある障害者たちを眺めてる。弟が障害者なので、ある程度の障害者には慣れている。わざわざ発見して言葉にするほどの感情の動きもない。特に言いたいこともないし、ぼくの脳みそは雪に足跡を消されてくみたいに、来た道程を忘れてしまうので、調子の悪い時の「なぜ」「どうして」が全く推測できず、全く違う人間のように思える。

 とりあえず今は何もしたくない。ほぼ白痴のように、見た物が通り過ぎていくのを何一つ知覚せずに受け止めていたい。思うに、人はものを思いすぎる。何かを見て、暗喩のように感じられる度にぼくは少しずつ疲れていく。人々が褪せるようにやつれていくように見えるのはぼくの周辺だけなのか。生活は当たり前のくせに、行うには意識を排すことが出来ず難しすぎる。他の人にとっての生活は意識せずに息をすることと同じなのかもしれないけれど、ぼくにとっては綱渡りみたいに息を呑んで行うものだから、やたら疲れる。

 通院して、薬を飲んで、ぼうっとしてるとまた通院になってるみたいな、無意識で息ができる体調に戻りたい。生きることを意識すると、不自然になって、何も意識することがない死が羨ましく思える。

 何にせよ、退院することを話したかったんだった……。こうも入退院を繰り返していると、どうせまたと予期して、染み付いた冷笑で人が遠ざかるのに冷笑をやめれない。人への期待の表れの愛嬌も下手になって、夜な夜な嫌いな女の顔を思い出して苛立ったあと、人全体への言いがかりのような嫌悪で顔が歪む。どんどん穿った目付きになって、卑小な笑いばかりするようになるだろうなと、暗い見通しばかりつく。人に好かれるには期待をしていなきゃいけないけど、なかなか難しい。何一つ考えるにはいっぱいいっぱいで、平常とも言えない。またこういうことを書き連ねる気しかしないので、ここら辺でやめておきます。せめて前向きに祈ることができたらいいのに。