反日常系

日常派

医者に断られる

 朝っぱらから電話。片っ端から予約を取ろうとしていた精神科から患者が多くて受け持てないとの返答を受け取る。次をあたれ。その返答から想像しなくていいことを想像して、なにか他の理由があるのではないかと勘繰る。どうして、症状があるというのに病院にかかれないのだろうか。助けるのが仕事ではないのか。ではないのだろう。神に向かってなぜ助けないのかとその怠慢を訴えてみても、無碍に一蹴されるか蔑ろにされる、それにも似た悲しさを反芻することになる。向こうが救いたいものは救われる。救われたい救われたくないに関わらず。救われる人生はその当事者がその問題を解決する能力を有するかに関わらず、本人がなんとかできても救われるものだ。

 どうせ助からないという悲観は今のムードではない。次がある。そういった希望の糸をほぼ無限に垂らされて、たらい回しにできるだけされているという印象を受ける。まあ、袋小路で足が止まるか、足が完全に萎えてしまうまで、次をあたるしかない。

 自分の説明が悪いのだろうか、しかし、なぜ受診したいか、なぜ転院をするのかという問いには赤裸々にしか語ることができない。救おうという人にとっては救いやすいということが価値なのだが、俺は救われ難いということを語ることしか自分の病状を説明する術を持たない。そして返答。うちでは診れません。暗転――。

 ジョークとは常に最悪をそのままにしておきながら言い換えるものだが、なにか、一つでも気の利いたジョークさえ携えることができたら少しでも気が楽になるのにと思う。笑い飛ばす必要はない。他人に笑われるに値するくらいの最悪に落ち着きたい。せめて……。