反日常系

日常派

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

事故現場観察

喪失が何かを与えるということは、何か出来事が我々に何も与えないことの不可能さを考えると、当たり前の道理として受け取るしかない。喪失の種類が、先の大戦や学生運動と震災や流行病では大きな違いがあり、劇的さも敗北も奪い取られた品名のない贈り物を…

日々のアウトテイクス

決まりきったニュースキャスターの悲しい表情が区のチャイムみたいに時刻を知らせる夕方四時四十五分。規則正しく混ぜられたような藍色に空が塗りこめられている。チャイムが鳴ればニュースキャスターは天気予報士に変わり、テーブルゲームみたいに地図に水…

自堕落を許せ

窓から射し込む光が夕陽に変わるその数刻前、光は反射故か神様が作った魔法故か、それとも僕の眼科的な疾病故か、赤みがかった虹色に変わり、窓辺にオーロラにも似たカーテンを吊す。窓辺しかないような狭い部屋でただそれを見つめながら、目を強く瞑った時…

医者に向けた手紙

この記事はただ僕が医者に向けて書いた手紙を書き写したものになります。 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。特に季節にふさわしいめでたい話もなく、そういった話を出来ない事に申し訳ない気持ちもありますが、別段暗い話も…

規則的に揺れる車両の中

車窓はビルと同じ、もしくはそれ以上の高さを持ち、高速道路の高みから下を見下ろすと、そこからは周囲の建物に押し竦められた駐輪場が見える。そこには中高生と思しき背格好をした少年たちが、チャリのハンドルをしっかりと握りしめながら道路にいざ行かん…

今年も日記を書き続ける

あけましておめでとうございます。あけても特にすることはないし、冥土への一里塚を踏みしめているだけだと絵に描かれた一休宗純のような屁理屈をこねては、カレンダーの2022の文字を見て思ったよりも早いと思う。冥土への一里塚を辿ろうが辿らまいが、自殺…