反日常系

日常派

日記

 一進一退と言えばまだ少しは響きがマシだが、実際はちょっと違う。ずっとウロウロ同じところを周回している気分だ。髪を短くして、女性ホルモンを打つのをやめたのが一年前。そうすれば自分の中の男性性を許せるのではないかと思っていた。二十六にもなるのに未だに自分の男性性を許すことが出来ない。この一年間で固くなった股関節や生えるスピードを増した鼻の下の産毛が自分を崖へと追いやってきた。

 自分が成長する度に何かを破壊されているような気分になる。ここに留まっていたい。これ以上壊されるのを危惧して女性ホルモンの予約を入れた。また戻った。

 女性になりたい訳ではない。いや、そうとも断言できない。わかるのは今の自分がとても嫌いだということだ。望むものは無性生殖のアメーバか、両性具有の神話か。

 自分が嫌いで仕方ないから生きることに積極的になれない。一秒ずつすり減って劣化している自分を肯定できない。

 この一年で不可逆的に男になっていたらどうしようと思う。どうしようもないのだけれど。男性だか女性だかわからない生き物でいる時は楽だから、やはり楽な方向へ流れていきたい。もうなれないとしたら悲しいけど。