反日常系

日常派

2022-01-01から1年間の記事一覧

幸福は暖かい煙

馬鹿な中学生のように煙草の話ばかりをしている。僕のような人間にとっては、背伸びをする・やめるというのが唯一の自発的な話題であるのだが、齢も二十後半となってくると、「何が背伸びだ。踵を浮かせるよりも先にその猫背を直せ」という話になる。そうし…

戦争と私文章

戦争が始まった。はてなブログ、Ameba、noteに戦争にかこつけた私文章が跋扈することを予想すると吐き気にも似た愉快な気分になるが、そもそも日本とは文学の誤読から私をいかに描写するかの文化だ。何が起きようと変容した私を絢爛な文章で綴る他ない。シェ…

唾を吐く。ゲロも吐く。煙も吐く

吐き気が鮮明になるにつれて、体のどこか一部分も針のような実存を主張してくる。飯を食えば茶褐色の液体に変わってしまうので、飯を食わずに煙草を喫む。煙草を灰皿に押し付けて、逃げ惑う火種を几帳面に潰していくと、もう胃の中には吐く物なんてひとつも…

ある人はハルヒ、ある人は薬、ある人は神

眠り、朝が来れば起きる。ニコチンの不足で重い頭を起こし煙草を喫む。紫煙でだるくなった体を布団に横たえると、布団を被り、そのまま二度寝した。 三時間後、再び起きる。鬱らしき気分を鬱と名乗っていいのかすらわからないまま堪能する。鬱とは既になくし…

病人(あるいは病人以下の)日記

受付に「診察ですか」と聞かれ「診察です」と返す。待合には音無しのNHKが字幕付きで流れているが、誰もそれを見ることなく、スマートフォンか幻覚に相対している。通話機能付きという点で見ればどちらも同じだ。それにしても、受付と話す精神病患者のうわず…

何もない日

美味くもない煙草を喫み、美味くもない珈琲で胃袋に蓋をする。一時間間隔でその行為を繰り返していると、意味もなく死にたいと思える。来た、ようやくだと思いながら画面上のキーボードをフリックし始める。幸せは人から語彙を奪っていくけれど、幸せではな…

近況(ハッピー)

自室の夜は上手く眠れない。夜は音をすぐに吸収してしまうし、ボロアパートのエアコンは三時間で勝手に消えてしまう。ぶっ倒れてしまおうと思ってブロチゾラムを十錠ほど飲むが、酩酊に至らずにすやすやと睡眠してしまった。昨晩眠れなかったのはここ数日か…

事故現場観察

喪失が何かを与えるということは、何か出来事が我々に何も与えないことの不可能さを考えると、当たり前の道理として受け取るしかない。喪失の種類が、先の大戦や学生運動と震災や流行病では大きな違いがあり、劇的さも敗北も奪い取られた品名のない贈り物を…

日々のアウトテイクス

決まりきったニュースキャスターの悲しい表情が区のチャイムみたいに時刻を知らせる夕方四時四十五分。規則正しく混ぜられたような藍色に空が塗りこめられている。チャイムが鳴ればニュースキャスターは天気予報士に変わり、テーブルゲームみたいに地図に水…

自堕落を許せ

窓から射し込む光が夕陽に変わるその数刻前、光は反射故か神様が作った魔法故か、それとも僕の眼科的な疾病故か、赤みがかった虹色に変わり、窓辺にオーロラにも似たカーテンを吊す。窓辺しかないような狭い部屋でただそれを見つめながら、目を強く瞑った時…

医者に向けた手紙

この記事はただ僕が医者に向けて書いた手紙を書き写したものになります。 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。特に季節にふさわしいめでたい話もなく、そういった話を出来ない事に申し訳ない気持ちもありますが、別段暗い話も…

規則的に揺れる車両の中

車窓はビルと同じ、もしくはそれ以上の高さを持ち、高速道路の高みから下を見下ろすと、そこからは周囲の建物に押し竦められた駐輪場が見える。そこには中高生と思しき背格好をした少年たちが、チャリのハンドルをしっかりと握りしめながら道路にいざ行かん…

今年も日記を書き続ける

あけましておめでとうございます。あけても特にすることはないし、冥土への一里塚を踏みしめているだけだと絵に描かれた一休宗純のような屁理屈をこねては、カレンダーの2022の文字を見て思ったよりも早いと思う。冥土への一里塚を辿ろうが辿らまいが、自殺…